リニアトロニックの評価は?WRX S4を5年間所有してみて感じたこと

WRX S4 試乗、レビュー

レヴォーグやWRX S4についてはCVTについてネガな記事を多く見かけます。

では、実際に長期所有した場合はどうなのか、リニアトロニック以外も含めて見ていきたいと思います。

WRX S4との出会い

※興味のない人は次の見出しまで読み飛ばしちゃってください

ある日、チャリで年金事務所に行き、帰りにふと思い立ってスバルの中古車センターに寄ってみる。

そこに展示されていたWRXをまじまじと眺めていると、ガタイのいいフレンドリーな店員に話しかけられてしまう。

人見知りだし、WRXが気になっていることがバレてグイグイ来られても面倒なので最初は落ち着いた態度で内面のワクワク感を悟られないようにしながら接することに。

聞くところによると、年改でB型に切り替わるタイミングだったため、ディーラー落ちの使用車がちょうどスバルの中古車センターに流れてきていたらしい。

さっそく運転席に座らせてもらうと新しい車の内装はすごく進化していて洗練されているように感じた。

その時乗ってたのは約10年間所有しているGDBだったこともあってGRB、GVBよりさらに新しいVA系の内装と比較するとその差は歴然。

センター上部とメーター内に設置されたディスプレイ類やそれに連携するカーナビ、電動化されたパーキングブレーキ、そしてアイサイトといった装備なんかも目新しい。

すすめられるがままに試乗してみると、GDBとはまたタイプが違って滑らかでトルクフルな走りがすごく魅力的。

その日はチャリで来てたのにマイGDBを査定したいからと、試乗車に乗ったまま自宅の駐車場まで来てくれるというなかなかのアグレッシブさ。

せっかく家の前まで来たからこのまま帰りたかったけど、チャリがあるのでS4ちゃんのACCを試しつつ、一度中古車センターに戻ってきた。

すると、10年乗った所有車の下取り査定が購入時の価格の半分も付くことが判明。

さらにガリバーなどの買取店に持っていけば、もっと上がるだろうという情報も提供してくれた。

そこはスバルディーラーさんが頑張って買い取ってくれるわけじゃないのね。

これが、もし不人気車だったらほとんど査定もつかないらしいので、マニアックな車に乗っていてよかったと言われました。

この頃には落ち着いた態度どころか、こちらの方が興奮しておしゃべりになってしまう。

こうしてまんまとアグレッシブ店員にやられて10年ぶりにの買い替えが決定。

試乗車はシルバーだったけど、今回から車は赤しか乗らないと心に誓ったのでわがまま言って他店から取り寄せてもらいました。

エンジン

FA20DIT

FA20DITは滑らかでトルクがあって運転していて本当に楽しいエンジンですよ。

EJ20+MTは飽きもせず3台も乗り継いできたこともあっていわゆるドッカンターボ的な強烈な加速には慣れているけど(BE5レガシィB4は遅かった)、FA20DITはトルクでもっていくような力強さが気持ちいいです。

低回転からトルクがあるため、街中をゆっくり走っているだけでもなんか楽しいし、料金所ダッシュなどのフル加速をするシーンはさらに楽しめます。

パワーのある車が大好きなんで速そうな車を選んできましたが(BE5レガシィB4はパラツインにしても遅かった)、まったく不満はなくてこれまでと違ったタイプの加速感を満喫することができました。

むしろ、FA20DITの滑らかさに慣れてから久々にEJ20搭載車に乗ると当時はあまり気にならなかった雑味の多さが気になり、懐かしさと同時に「もう戻りたくないな」と思ってしまうほどでした。

でも、EJ20+MTを所有したことがない若者には、まずはVABのような車に乗ってマニュアル車を思う存分満喫していただきたい。

S4の実力

体感としては充分な速さを持つS4ですけど、実際の走りのポテンシャルがどのくらいなのか気になります。

本庄サーキットを走った記事によると結構いいタイムが出てます。

47秒というタイムはGDBと比べても1秒落ちくらいでしょうか。
注)自分のGDBで走った時は48秒台だったんで偉そうなこと言えない

筑波サーキットでのタイムはVABの約2秒落ち、1分8秒台で走れるようです。

タイヤを変えるだけでももう少し速くなりそうですし、ミニサーキットでも充分な速さを持っていることが分かります。

ミッション

初のAT

それまではMTしか眼中になかったのでついにはじめてのATとなります。

若い頃はATを所有するなんてまったく考えられなくて、何ならATに乗ってる人をちょっと下に見るくらいの感覚でした(ごめんなさい)。

それなのに気が付けば渋滞では足首が痛くなったり(クラッチの左足より、アクセル操作の右足の方が痛む)、代車などでATに乗る機会があると「つまらない」と思うより、「楽だな」と感じてちょっぴり嬉しくなるといった軟弱化が止まらない。

昔は同じエンジンでもMTの方が速くて楽しいというイメージがあったので積極的にATを選ぶ理由はありません。

現在ではATが多段化されて速さという面でも逆転されてたりします。

今回はS4ちゃんにATしか存在してなかったというのがきっかけだけど、MTを卒業するにはいい機会だったと思う。

リニアトロニック

WRX S4について書かれた記事を見ると、一通り高評価としてから最後にCVTをけなすというパターンが多くてうんざりする。

とりあえずCVTについて辛口なコメントをしておくことで自分を「通」っぽく見せたいか、ラバーバンドフィールという言葉が使いたいだけなのかなと思ってしまう。

確かにSIドライブをiモードにして走るとCVTっぽい制御になるんですけど、これはあくまでも燃費重視のモードなんです。

この段階でドライバビリティがどうとか言ってもしょうがなく、まったり走るモードなのでこれで正解なのです(個人的にはこの時でもトルクがあるんで結構楽しめる)。

それにそこまでエンジン音が聞こえるわけでもないからタコメーターとにらめっこしない限り回転数なんて分からないし、いちいちエンジンがどのくらい回っているか確認しておきたいなんておかしな人達です。

これはCVTと思い込むことによって生じる逆プラシーボ的な効果に違いない。

どうやら変速比の切り替えがないと納得しない頭の固い連中が一定数存在し、SIドライブやマニュアルモードをきちんと試しもせずに短時間の試乗と先入観を強く持ったまま記事を書いてしまうからこういう似たり寄ったりの内容が出来上がってしまうんでしょう。

高速道路などの流れのいい道だけじゃなく、実際に長期間所有して住宅街やショッピングモールの駐車場など実生活でいろんなところで使ってみると、むしろリニアトロニックのメリットが大きいことに気が付くと思います。

アイサイトとの協調制御でACC任せで走っている時は他の変速機には真似できないくらいスムーズだし、変速ショックがまったくないというのは慣れてしまうと予想以上に快適だったりします。

例えばいくら多段ATでも低速ではそれなりに変速ショックが感じられるし、住宅街をゆっくり走るような時でも思わぬところでシフトアップしてグイっと前に出てしまい、慌ててブレーキで減速するような場面もあったりして完全に人間の感性と一致しているとは言えません。

リニアトロニックはS#モード以外なら唐突にギアが変わることもないし、SIドライブやマニュアルモードによってキャラクターを変化させることができるので積極的に使いこなすことができる人にとっては優れた変速機になり得ます。

気になったこと

基本的には高評価なリニアトロニックですけど、やっぱり気になる点もあります。

CVT油温問題

有名なのは全開走行を続けるとCVT油温が上がってセーブモードに入ってしまうこと。

本庄48秒台の下手くそが普通に峠を流したくらいでは大丈夫だったのとサーキットでも2~3周くらいはいけるようなので走行会とかならクーリングを挟めば参加できると思います。

では、CVTオイルクーラーを入れれば解決するのかと思ったら、残念なことに延命にしかならないようです。

できれば全開走行するのは夏場などの気温の高い日は避けましょう。

振動

リニアトロニックは従来のCVTより違和感が少ないんですけど、じんわり加速するとCVTらしい制御がみられます。

一旦2000回転付近まで上がった後、回転が下がり、1400回転前後を保ったまま車速が上がってこの時になんか振動が発生しやすいみたいです。

エンジンオイルをスバルの一番安いやつからレ・プレイアード・ゼロに交換してみたらかなり抑えられたので気になる人は奮発していいオイルを入れてみるという方法を試してみてください。

レスポンスの遅れ

巡航速度からベタ踏みした際に加速が始まるまでワンテンポ遅れることがありました。

この時にタコメーターを見ると、加速してないのにすごい勢いで回転数だけが上がっていってなんかこわい。

しばらくするとドンっ!という衝撃とともに急に加速がはじまる。

MTでもアクセルを煽って回転数を合わせてからクラッチを切ってギアを落とすという操作にはそれなりに時間がかかるし、多段ATでも巡航速度からのフル加速には結構なラグが発生するので仕方ないような気がする。

ラグが嫌で素早く加速したい時はマニュアルモードにしてギアを1~数段下げるという方法もあります。

この時にレッドゾーンまで回ったらシフトアップするか、オートモードに戻すのを忘れないようにしてください。

少し慌ただしいかもしれないですけど、一応この問題を回避する手段は存在しています。

足周り

新車をディーラーで試乗した時は硬いと感じたGTのカヤバ足ですが、5000~1万km前後走るとかなり軟らかくなって、高速道路で速度を上げるとリヤがフワフワして頼りない。

「ビル足はフワフワだけど、カヤバ足は固いから大丈夫」なんて噂もありますけど、そんなことはありませんでした。

みんカラのコメントで距離を走っても「カヤバ足の突き上げが酷くて困ってます」というのがあったので個体差がある可能性も否定できません。

気になる人は社外品への交換を検討してみるのがいいと思います。

そこでフワフワを解決するためにB社の車高調(しかも高額なDSC!)を入れたら、低速でステアリングを切るとストラットのばね弾き音がするという問題が発生。

この音は自分だけでなく同乗者や駐車中にたまたま近くにいた人もこっちに反応してしまうほどで何度も検証したので気にし過ぎということは断じてありません。

東雲の販売店やB社に相談してもぜんぜん親身になってくれないどころか、駐車する際のステアリング操作にまで言いがかりをつけてくる始末で泣き寝入りをするしかなかったので二度とこの二社とはかかわらないと心に誓いました。

今の時代でも大手メーカーがこんな不良品を売り付けといて対応しないなんてことあるんですね。

仕方ないのでみんカラを参考にバラしてスラストベアリングを挟んだり、DIYラボに載っているショップに出かけて行って調整してもらったりしましたが、さまざまな努力も空しく解決には至らず。

その後も主に駐車時に発生する異音に悩まされ続け、日夜ネットに解決策を求めたところで万策は尽きてしまい、もはやトラウマになりそうなレベルです。

最終的には耐えられなくなってH社の純正形状タイプに替えてしまいました。

高額な車高調が下取り1万円に変わってしまうとはあまりに悲しい結末です。

これで完全解決したんだからある意味仕方ないな、と自分に言い聞かせつつ無理矢理納得しようとしていたら、しばらくすると以前より弱くはなっているものの、徐々に異音が復活するという残酷な事態に見舞われてしまう。

H社の足は純正アッパーマウントだったのですが、この時はケチってアップガレージから中古を入手していたことが原因だったようです。

ストラットのばね弾き音は純正でも発生してするケースがあるようなので、ディーラーに相談したら、新品と交換すれば直る可能性が高いとのこと。

足周りを変える時はくれぐれも慎重に信頼できるメーカーと販売店を選びましょう。

燃費

レーダー探知機燃費計
水平対向で四駆でハイパワー車、おまけにアイドリングストップもないんであまり燃費に期待してはいけません。

CVTというかなり燃費に貢献しそうな要素をもってしてもこの程度ということは他の変速機だったらどうなってしまうんでしょう。

高速巡航ではうまくすれば15kmくらいまで伸びますけど、街中ではせいぜいリッター7~8km台といったところ。

渋滞の少ない道ばかり走れればそこまで悪くなさそうですが、最近は燃費のいい車が多いので少し遅れている感は否めません。

EJ20の時は燃費を測るといつも6.4kmだったのでそれよりはまあまあ改善されているように思う。

でも、今の時代に生き残るにはちょっと厳しい燃費なのかもしれません。

昔は燃費計なんてなかったのでそこまで気にしなかったし、パルサーGTI-Rに乗っている知り合いはフル加速時にガソリン計が減っていくのが見えるとか言って大笑いしてたもんです。

マルチファンクションディスプレイに表示される燃費は甘々なので満タン法で計算するか、レーダー探知機の燃費を参考にしましょう。

S4のちょっとした小技

S4ちゃんを乗りこなすうえで必須とも言える便利な小技を3点ほど紹介します。

・エンブレを使いたい時にはパドルシフト左
MTに乗ってた人は減速時にエンブレを使うクセがついていると思いますが、パドルシフト左で同じようなことができます。パドルシフトのダウンは反応も早いし、むしろエンブレ装置と言っても過言ではないくらいです。ただしSIドライブがS#モードになっていると1段下げたくらいではあまりエンブレが効かないので2段くらい下げる必要があります。パドルシフトを操作すると一定時間マニュアルモードに移行してしまうので、すぐにオートに戻したい時はシフトレバーを一瞬だけ右に倒し、素早く左に戻すことでマニュアルモードを解除することができます。

・アクセルペコペコ
どうもエンジンが重いと感じた時はアクセルペコペコと呼ばれる電制スロットのキャリブレーションをおこなってみましょう。街中などの渋滞に多いところばかり走行していると、アクセルをあまり深く踏み込む機会が少なく、これを学習してしまうことでエンジンが軽快に回らなくなるという説が有力です。個人的にはかなり効果が感じられました。出発前のちょっとした時間にもできるのでおすすめです。

・ACCの復帰
ACCが完全停止などで解除されて再びセットする場合はステアリング上のレバーを下の-ではなく、上の+にセットすることで前回設定した上限速度が保持されます。これを知るまでは毎回上限速度をセットし直すという無駄なことをしてました。

まとめ

スバル車は年改でどんどんよくなるから買い時が難しいと言われていますが、今回はじめて買ったA型は最後までエンジンやミッションが変更されることもなく、アイサイトツーリングアシストの搭載、静粛性や足周りといった小改良に留まってくれて年改モデルが死ぬほどうらやましいといった状況にはならずに済みました。

今後燃費規制が厳しくなるとFA20DITのような楽しいエンジンは出てこなくなる可能性があります。

最後の特別仕様車という噂の「WRX S4 STI Sport♯」が完売し、もうすぐレヴォーグが新型に切り替わります。

そう考えるとVAGが新車で買える時間はあまり残されていなさそうです。

CVTというだけで敬遠するのはあまりにももったない車なのでこの機会に感想を残しておくことにしました。

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